大図書館の羊飼い a good librarian like a good shepherd 感想(レビュー)
【大図書館の羊飼い a good librarian like a good shepherd】
〜Story〜
「汐美学園を、もっともっと楽しくしませんか?」
何か悪いものでも食べたのか、彼女――白崎つぐみは言った。
前振りがあったわけでもない。それ以前に、彼女と知り合いだったわけでもない。
唐突に、白崎は言ったのだ。
「そういう話なら、生徒会に掛け合った方がいいと思うけど」
と、喉まで出かかった言葉を腹の底まで押し戻したのは、俺――筧京太郎の悪癖だった。
情に棹さえば流される、とは有名な小説の一節だが、しばらくあとの俺の心境はまさにそれだ。
川の果てまで流れ流され、河口付近を漂っていた俺の周囲には、同じように流された奴らが集まっていた。
桜庭玉藻、
御園千莉、
鈴木佳奈、
高峰一景、
そして、なぜか通りがかる、小太刀凪。
最高の読書空間だった部室は、もはや昼休みの教室と変わらない有様だ。
「ええと、今日の活動ですが、カフェテリアの……」
聞き慣れた台詞を、白崎つぐみが口にする。
「あ、そういえば、カフェテリアの新メニュー食べました?」
「おっ、佳奈ちゃんも気になった?あの子、可愛いよね。俺、スレンダーな子好みでさ」
「話を逸らすな。あと高峰、鈴木はウェイトレスの話なんてしてないし、お前の好みはどうでもいい。そもそも……」
「玉藻ちゃん、話題が余計に逸れて……。ほら、御園さんがこっちを怖い目で」
「睨んでます。なので筧先輩、ここで目の覚めるようなオチを一つお願いします」
「いや、オチとか関係ないし」
今日もまた、寄り道だらけの活動が始まる――
【シナリオ】
流れとしては、部活動を通してヒロインと仲良くなっていくという学園物。
キャラの内面を描くことに比重をおいており、それに主人公の性格がマッチしているよう感じられました。
主人公が部活動をへて変わって(成長)いくのもポイント。
羊飼いというSF要素も序盤のスパイスとなり、非常に引き込まれました。
【CG】
べっかんこうさん独特の綺麗な絵は健在。
立ち絵においての顔の表現が非常にバリエーション豊かだったように感じます。
【キャラ】
佳奈すけ可愛い。
ちっちゃくて明るくて完璧。
次点で凪。
あの凪独特の雰囲気好きや。
【音楽】
BGMはポップな感じが世界観に合ってました。
「彩日-さいじつ-」が好き。
イメージソング、OP曲共にめっちゃいいってほどでもないけどムービーの演出が綺麗で見てて楽しいね。
【システム・演出】
システムは業界最高峰と言っても差し支えないほどいろいろ(マウスジェスチャーなど)揃ってました。
しかしこれほど揃ってると、逆に選択肢スキップがないことに違和感を覚えてしまうという(
演出は立ち絵がすごい。
場面に応じてカメラ視点が変わったり、光の差し込み具合や夜だと立ち絵が暗くなったりと他では見られないようなものがたくさんありました。
【総合】
「AUGUST」さん作「大図書館の羊飼い a good librarian like a good shepherd」
過去作「穢翼のユースティア」以前の作風といったところでしょうか。
「AUGUST」さんの本業ですね。
大手によるライトノベルに近い感じの作品でしたので、初心者から上級者まで幅広く楽しめると思います!
【総合評価】
B (ABCDEの五段階評価)